東京都美術館で開催中の「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」。
写真のドイツにあるドレスデン国立古典絵画館所蔵《窓辺で手紙を読む女》が本展覧会の目玉です。
フェルメールが描いた死後ー、何者かに消されていたキューピッドが2019年に復元されたのです。
所蔵館以外では世界初公開ということで中世絵画が好きな方は必見かも知れません。

東京都美術館は3フロア構成。
1Fは同時代のフランドル地方黄金期のコーナでフェルメールに似た世俗画が多く飾られています。
スポンサーが王侯貴族から商人に移った時代なので、大作はなくどれも小さなカンバスではあるものの、かなり精緻です。
写真の技術はまだ無い当時、フェルメールは前身であるカメラオブスクラを使って傑作を世に送り出したと言われています。
中にはフェルメールより書き込みを頑張っているように感じさせる作家もいましたが、あの独特の奥ゆかしい雰囲気と柔らかい光こそがフェルメールをこの時代の頂点に君臨させているのだと、あらためて認識させられます。

2Fは《窓辺で手紙を読む女》に纏わる映像から始まり、わかりやすいように修復前の複製と修復後の天使の絵が展示されていました。
天使の絵が入ると、構図のおさまりが良く、画面の完成度の高さに圧倒されます。
対して修復前の複製作品は他の画家さんが描いているのですがコントラストが強く、暗部がどうもフェルメールらしくありません。
もちろん素晴らしいタッチなのですが、フェルメールの上品な色の再現は本当に難しいのだと痛感させられました。

3Fは同時代の風景画や静物画。寓話が盛り込まれた絵画やトロンプルイユ(だまし絵)が目を楽しませてくれます。
宗教画に書かれているキリストやマリア像の衣に意味があるのは有名ですが、ルネッサンスを経て絵画が世俗的なモチーフに変遷を遂げても、同様に多くのメッセージが盛り込まれていたことに気付かせてくれました。

教室でも来月フェルメールを題材にした課題を盛り込む予定です。
コロナ禍ではありますが感受性の豊かな年代だからこそ、お子様たちに素晴らしい名画にふれる機会を大切にしたいと考えてます♪