e02ヴィジェ=ルブランの作品を観にヒルズへ足を運びました。

肖像画家として激動の時代を生き抜いたエリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン。女王のお抱え画家であり、それは現代に置き換えれば広報兼カメラマン的な存在でした。彼女がマリー・アントワネットのイメージを作り、世に知らしめたと言っても過言ではありません。ロココを具現化した様な甘いタッチばかり評されがちな画家ですが、絹やレースの質感表現は他の追随を許さないほど緻密、そしてモデルに対しての愛情や尊敬の念を感じました。

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対して同時代の巨匠ダヴィット。アントワネットに関して批判的精神に満ちたラフスケッチが公開されていました。あのルーブル美術館を代表する名画「ナポレオンの戴冠式」を描いた同一人物とは思えないようなおざなり感。誇張した風刺画のようなタッチ。残念ながらお得意の油彩にする気は毛頭無かったように伺えます。

この時代は写真の代用として絵を重用していており写実的な絵画が主流です。なのでどちらもリアル路線ですね。とはいえ真逆の気持ちが作品に反映されているのが見て取れます。ダヴィットの性格に加え時代がそうさせてしまったとは言え、やはり対象に敬意を払って描かれた作品の方が好感を持てます。

愛着を持つのは大切ですね。