3年ぶりに横浜美術館がリニューアル・オープンしました。
その第一弾の展覧会は横浜トリエンナーレ(2024年3月15日-6月9日)。
日本の数ある芸術祭の中でも20年以上の歴史を持つ大規模な催しとして内外から注目されています。

今回は北京で活動してるリウ・ディンさんとキャロル・インホワ・ルーさんがアースティスティック・ディレクター。
魯迅の詩集からの引用「野草:いま、ここで生きている」をテーマにアートから未来を模索する試みです。

国際的に集った94組のアーティスト作品は世界の問題を題材にしたテーマが多く、心に重くのしかかります。

天井高く、所狭しと並ぶ現代アートはどこか不気味な雰囲気でこの世のいたるところで勃発している紛争や弾圧を暗示しているかのよう。
ニュースで見聞きしている政情不安の国や地域など、わかり易い場所だけでなく・・・イギリスや台湾、そして日本を題材にしたものも散見しました。

そこに生まれたが故に直面する悲哀は他人ごととは思えませんでした。
我々だって、地震や戦争、飢餓がこないとは限らないのです。

このトリエンナーレの会場には古典絵画や印象派のような甘美な香りはどこにも無く・・・人々の嘆きが噴出しているようでした。

新しく天井からの採光を取り入れた明るいホールに相反して、さながら新聞の社会面を落とし込んだ現代アートとの対比はコントラストをより一層、強く浮き上がらせていました。

現代アートは「問い」をなげかけるものです。

その「答え」は私たちが探さなくてはなりません。