もうすぐ会期終了のアルフォンス・ミュシャ展。六本木の新国立美術館で開催されています。
今回の最大の目玉は『スラヴ叙事詩』は第一次世界大戦時代の不穏な空気から、
ミュシャが人生の後半16年を賭けて挑んだ20点に及ぶ大型の油彩作品群です。
本国のチェコではこの作品の国外持ち出しについて反対運動もあったそうですが
はるばる海を渡り、この日本で作品を拝む日がこようとは!感無量ですね。

今までは小ぶりな作品展しか開催されてこなかったミュシャ展ですが
華やかな女性画から一転し、戦禍を押し出す壁面一杯のキャンバスに圧倒されます。
ナショナリズムに目覚めて描いた『スラヴ叙事詩』。
同時代を生きたメキシコのディエゴ・リベラとも重なりますが
ミュシャならではの優美な雰囲気によって、いかにもなプロパガンダ的な作品にならず
「哀しみ」と「慈しみ」が画面全体から伝わってきますね。
その幻想的な作風が時代や民族を超えて・・・・多くの人を魅了する所以なのでしょう。
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(※)上の若き青年は作者のミュシャ自身。故郷で盲目の老人に本を読み聞かせている所です。