イタリア有数の世界遺産ヴェネツィアを描き続けた風景画家カナレット。
彼の生きた18世紀から今なお世界中の人を魅了し続けている水の都ヴェネツィアの絵画を一堂に会した展覧会です。

カナレットの作品は当時ヨーロッパで流行したグランドツアー(当時の学生の卒業旅行のようなもの)で旅の思い出として風景画を求めた英国貴族の人々に絶大な人気を誇っていました。
今のようなスマートフォンで気軽に撮影できる時代ではなく、
精緻で美しい油彩作品が人々の心を魅了したのは想像に難くありません。

興味深いのは、カナレットが遠近法と併用して当時開発されたカメラの原型と言われているカメラ・オブ・スクラを用いて絵を仕上げた事でしょう。
オランダのフェルメールもカメラ・オブ・スクラを用いて描いていたことで知られていますが、写真に肉薄する描画技術が確立されていく変遷が垣間見えました。
さらに面白いのがカメラの画面通りにそのまま描いてしまうと画面ではもの足りないことを熟知していた点です。
人物の書き足しはもちろん、あえて一部の建物でパースを誇張したり、その場所にない筈の建造物をトリミングして入れることも。
現代の私たちが映像編集や画像ソフトで行うことを300年前でも意識していたのですね。
いつの時代も<映え>は大切なポイントなのだと再認識します。

会場にはヴェネツィアの地図があり、カナレットだけでなく、後の印象画家であるモネが描いた場所の解説もありました。
全ての作品に丁寧なキャプションが付いており分かりやすかったです。
旅行でヴェネツィアを訪れたのでしょうか、リアルト橋やサンマルコ広場などの場所を確認しながら見入っている鑑賞者も。
400を越える橋と大運河カナルグランデを中心に150もの河が流れ、船以外のクルマはもちろん自転車の乗り入れすら禁止され、中世からの景観を頑なに守っている稀代の海運都市です。
春の訪れを祝う仮面のカーニヴァルも有名ですね。
「子供の絵画教室|大倉山」でも今年のハロウィンシーズンにヴェネツィアンマスク工作を行っています♪

数多の絵画作品を通して、優美な風景が心に広がる美術展でした。

「カナレットとヴェネツィアの輝き」
【会場】SOMPO美術館(東京都新宿区)
【開催日時】2024年10月12日(土)~12月28日(土)
【休館】月曜(※ただし10月14日と11月4日は開館)
【公式HP】こちら