東京都の府中美術館で「吉田遠志展」~自然、生命、平和、私たちは見つめられている~が開催されています。

彼の父は明治時代に人気を博し、世界中を旅した稀代の画家である吉田博さん。
開国で来日したお雇い外国人を腕一本で魅了し、アメリカ人に招聘されました。
それを機に世界中を旅して多くの版画作品を残しています。
マッカーサー家と交流、イギリスのダイアナ元妃の執務室にも父、吉田博さんの風景画は飾られていました。
戦前からグローバルな活躍が主流だったため、派閥色が強い日本の画壇から少し距離を置く存在でしたが近年注目されています。

その長男として生を受けた吉田遠志さんもまた父と同じ画家の道を歩みました。
成功した父のもと恵まれた養育環境ではありましたが、幼少の病気のせいで脚が不自由だったようです。
吉田博さんを彷彿とさせる精緻な絵画。
今回の展覧会を俯瞰して、彼の人生は自己のアイデンティティを確立する長い旅路だったように思えました。
抽象画の作品も素晴らしいですが、社会に対する哀しみが題材に盛り込まれ死生観が垣間見えます。

心から描きたい「己の題材」を探し求めていたような吉田遠志さん。

偉大な父を乗り越え、自分の境地を見出したのはアフリカの動物でした。
動物の躍動感、俊敏な動きを流線を駆使して表現するのは現代の漫画がアニメーションに通じるものがありますね。

サバンナで生きる動物の生命力が伝わってくる、心躍る版画でした。
晩年は子供向けに色鉛筆で沢山アフリカの動物の絵本を描いていました。
吉田遠志さんは幼い時から動物が好きで、動物園でもよくスケッチしていたそうです。

幼少期の体験はいつの時代も、その子、その人間の原点になります。

色鉛筆の温かいタッチ、学習図鑑の写真では伝わってこない<温もり>がありました。
小学生や小さいお子さんに読んであげたくなる絵本です♪

吉田遠志展~私たちは見つめられている~
【会場】府中市美術館
【開催日時】2024年7月20日(土)~9月6日(金)
【公式HP】こちら