『中世の華 黄金テンペラ画ー石原靖夫の復元模写 チェンニーノ・チェンニーニ《絵画の書》を巡る旅』が目黒区美術館で3月23日まで開催中です。
テンペラ画とは卵の黄身を顔料に混ぜ、板に描く古典的な絵画技法です。中世のヨーロッパの宗教画に多く用いられました。
テンペラ画で有名な作家は『ヴィーナスの誕生』を描いたサンドロ・ボッティチェッリですが、今回の展覧会はシモーネ・マルティーニ(1284頃ー1344)の『受胎告知と二聖人』、1333年にイタリアのフィレンツェで描かれた祭壇画の複製メイキング過程にフォーカスを当てた展覧会です。

この作品は

「めでたし、めぐまれた女よ。主はあなたとともに」

キリスト教の大天使ガブリエルが祈祷書を読んでいたマリアに告げているシーンを表現しています。マリアは上半身をねじり、マントを襟もとで合せ、謙遜と恥じらいを見せています。
オリジナルはマリアとガブリエルの両端にも聖人が立っているのですが、中央部分のみを再現していました。

惜しみなく使われた金箔と、ラピスラズリが眩いばかりです。
そして丹念に刻まれた文様と精緻に描かれた人物像。素晴らしい作品でした。
イタリアから古美術品関連品を持ち出す際、原則的に真作と同サイズものは認めていないため原寸より少し小さくされていたようです。
それでも稀有な技術を習得されて作り上げるのに何年かかったのか・・・想像するだにため息が出ます。

ウフィツィ美術館のオリジナルは数百年が経過しているため、ここまで鮮やかな印象は持てないのではないでしょうか。
遥か時を越え、700年前の完成当時に思いを馳せてしまいますね。
類まれな技術力と時間を感じる、凄みのある企画展でした。

中世の華 黄金テンペラ画ー石原靖夫の復元模写 チェンニーノ・チェンニーニ『絵画の書』を巡る旅
【会場】目黒区美術館
【開催日時】
2025年2月15日(土)~3月23日(日)
【公式HP】こちら